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投資信託の分類とコスト|3つの手数料と運用スタイル

投資信託はFP3級の「金融資産運用」で毎回のように出る論点ですが、覚えることが分類コストの2系統に分かれているため、混ざると解けなくなります。分類は「何に投資できるか」「どう運用するか」、コストは「いつ・誰に払うか」で整理できます。この記事では、この2系統をそれぞれ表で切り分けたうえで、両者がつながる部分(インデックス型は信託報酬が低い、など)まで解説します。

1. まず登場人物を押さえる

投資信託は、投資家から集めたお金をひとつにまとめて運用する仕組みで、次の3者が関わります。

この3者の存在が、あとで出てくる運用管理費用(信託報酬)の配分先にそのまま対応します。コストの話が出てきたときに「誰の取り分か」を考えると、区別しやすくなります。

2. 分類①:何に投資できるか(公社債投資信託と株式投資信託)

最も出題されるのがこの分類です。

種類株式の組入れ代表例
公社債投資信託一切組み入れられないMRFなど
株式投資信託約款上、組み入れられる一般的な投資信託

ここには引っかけが2つあります。

「実態」ではなく「約款」で決まる、という点が繰り返し問われます。

3. 分類②:いつ買えるか(追加型と単位型)

購入できるタイミングによる分類です。

設問では「追加型株式投資信託」のように、分類①と分類②を組み合わせた呼び方で出てきます。分解して読めば、いつでも買えて株式を組み入れられる投資信託のことだと分かります。

4. 分類③:どう運用するか(パッシブとアクティブ)

運用の方針による分類です。ここは3階層あるので、順に降りていきます。

運用スタイル目標コストの傾向
パッシブ運用(インデックスファンド)日経平均株価などのベンチマークに連動する成果信託報酬は一般に低め
アクティブ運用ベンチマークを上回る成果調査・分析の分だけ高くなりやすい

アクティブ運用の中の分類:銘柄をどう選ぶか

アクティブ運用は、さらに「どこから考え始めるか」で2つに分かれます。

アプローチ考える順序
トップダウン・アプローチ経済・金利・為替などのマクロ分析から資産配分や業種を決め、そのあと個別銘柄を選ぶ
ボトムアップ・アプローチ個別企業の調査・分析を出発点に、投資魅力の高い銘柄を積み上げてポートフォリオを作る

名前のとおり、上(マクロ)から降りるのがトップダウン、下(個別企業)から積み上げるのがボトムアップです。

アクティブ運用の中の分類:どんな銘柄を選ぶか

スタイル着目点
グロース運用売上高や利益の成長性が市場平均より高いと見込まれる銘柄
バリュー運用PERやPBRなどから見て株価が割安と判断される銘柄

バリュー運用の判断に使うPER・PBRは、株価指標の計算で扱っている指標そのものです。あわせて確認すると理解が早まります。

なおインデックス運用は「銘柄選択の手法」ではありません。ベンチマークへの連動を目指すパッシブ運用であって、成長株や割安株の選別は行わない、という点で土俵が違います。アプローチやスタイルを問う設問にインデックス運用が選択肢として混ざっていたら、それは誤りの選択肢です。

5. 3つのコスト(いつ・誰に払うか)

投資信託の費用は、払うタイミングで3つに分かれます。この表が本記事の核心です。

費用いつどこへ行くか
購入時手数料購入時販売会社の収入
運用管理費用(信託報酬)保有期間中、信託財産から日々運用会社・販売会社・受託会社(信託銀行)の三者に配分
信託財産留保額解約(換金)時信託財産に留保される(販売会社等の収入ではない)

購入時手数料

購入時に販売会社へ支払う費用です。徴収しない「ノーロード型」もあります。同じ投資信託でも販売会社によって手数料率が異なることがあります。

運用管理費用(信託報酬)

保有している間ずっと、信託財産から日々差し引かれます。投資家が別途振り込むわけではなく、基準価額に反映される形で自動的に負担している点が特徴です。

「日々」「保有期間中」というキーワードが、購入時・解約時の費用と区別する決め手になります。長期投資では信託報酬の水準が運用成果に大きく影響するため、実務でも重視される費用です。

信託財産留保額

解約時に基準価額から差し引かれますが、行き先が他の2つと違います。販売会社や運用会社の収入にはならず、信託財産の中に残されます

これは、解約に伴って発生する証券の売却コストを解約する投資家自身に負担させ、保有し続ける投資家との公平性を保つための仕組みです。徴収しない投資信託もあります

「誰の収入になるか」を問う設問はこの3つの対比で作られます。信託財産留保額だけが誰の収入にもならない——ここを押さえれば取り違えません。

6. 分類とコストがつながるところ

分類③とコストは無関係ではありません。ベンチマークに連動させるだけのインデックスファンドは調査・分析の手間が小さいため、信託報酬が一般に低めになります。逆にアクティブ運用は調査コストがかかる分、高くなりやすいという関係です。

この関係は制度にも顔を出します。NISAのつみたて投資枠で購入できるのは、販売手数料が無料で信託報酬が低いなど、金融庁の基準を満たした長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託とETFに限られます。

制度の詳細はNISAとiDeCoの違いで扱っています。

7. 分配金と課税の入口

追加型株式投資信託の収益分配金は、性格の異なる2つに分かれます。

課税方法の全体像は所得税の10種類の所得区分と課税方法で整理しています。

8. 破綻したときの保護

証券会社は顧客資産の分別管理を義務付けられています。それに違反して破綻し、顧客の資産が返還されない場合は、日本投資者保護基金一般顧客1人あたり1,000万円を上限に補償します。

ひとつ注意点があります。銀行で購入した投資信託は同基金の対象外です(分別管理等によって保全されます)。「投資信託だから必ず投資者保護基金」ではなく、どこで買ったかで変わる、という点が問われます。

9. 解くときの手順

理解度チェック(4問)

ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。

Q1. 投資信託の運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有している間、信託財産から日々差し引かれる。

答えと解説

正解:○

信託報酬は保有期間中、信託財産から日々差し引かれ、運用会社・販売会社・受託会社(信託銀行)の三者に配分されます。長期投資では信託報酬の水準が運用成果に大きく影響します。

Q2. 株式投資信託の運用において、企業の売上高や利益の成長性が市場平均より高いと見込まれる銘柄に投資する運用スタイルは、次のうちどれか。

答えと解説

正解:3. グロース運用

グロース運用は企業の成長性を重視して銘柄を選択するスタイルです。一方、バリュー運用はPERやPBRなどから株価が割安と判断される銘柄に投資するスタイルです。

Q3. 投資信託の解約(換金)時に徴収されることがある費用で、証券等の換金コストを解約する投資家自身に負担させるため、信託財産内に留保されるものは、次のうちどれか。

答えと解説

正解:1. 信託財産留保額

信託財産留保額は換金時に基準価額から差し引かれ、販売会社等の収入ではなく信託財産に残されます。継続保有する投資家との公平性を保つための費用で、徴収しない投資信託もあります。

Q4. 下記<資料>の投資信託を30万口購入する場合の購入金額として、正しいものはどれか。なお、円未満は切り捨てること。

<資料>
項目内容
基準価額(1万口当たり)12,500円
購入時手数料(税込)2.2%
信託財産留保額なし
答えと解説

正解:2. 383,250円

購入金額は「基準価額×口数」に購入時手数料を上乗せして求めます。基準価額が1万口当たりで示されている点に注意し、口数を1万で割ってから掛けます。信託財産留保額は解約時にかかるもので購入時には関係しません。

  1. 基準価額分 12,500円 × (30万口 ÷ 1万口) = 375,000円
  2. 購入時手数料 375,000円 × 2.2% = 8,250円
  3. 375,000円 + 8,250円 = 383,250円
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まとめ

投資信託は、分類とコストという2系統に分けてしまえば整理しやすい論点です。分類では公社債投資信託は株式を一切組み入れられないこと株式投資信託は約款で判定すること、運用ではパッシブは連動・アクティブは超過という目標の違いと、その下のトップダウン/ボトムアップグロース/バリューの対比。コストでは購入時・保有中・解約時の3タイミングと、信託財産留保額だけが誰の収入にもならないという点。この5つを押さえれば、この論点はほぼ落としません。Fノピの無料演習には投資信託の分類とコストを問う問題を複数収録しているので、実際に仕分ける練習をしてみてください。

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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。記載した補償限度額は本記事作成時点の制度によるものです。手数料の水準は投資信託ごと・販売会社ごとに異なるため、具体的な料率は記載していません。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。