← Fノピ

FP3級 タックスプランニングの頻出論点まとめ・攻略ガイド

「タックスプランニング」は所得税を中心に、税金の仕組み全体の理解が問われる分野です。10種類ある所得の分類、損益通算のルール、所得控除・税額控除の仕組みなど、覚える項目が多い一方で、構造さえ理解すれば得点しやすいという特徴があります。学科試験60問のうち他分野と同程度の出題が見込まれ、計算問題よりも「制度の仕組み・要件」を問う問題が中心です。所得税は制度改正が比較的多い分野でもあるため、数値よりも仕組みを軸に学習するのがおすすめです。

1. 税金の全体像

税金は、課税する主体によって国税と地方税、税負担者と納税者が一致するかどうかによって直接税と間接税に分類されます。所得税・相続税・贈与税は国税かつ直接税、住民税・固定資産税は地方税かつ直接税、消費税は国税かつ間接税に分類されるなど、代表的な税金がどの分類に属するかを整理しておくと、他分野(相続・不動産)の学習にも役立ちます。

2. 所得税の基本的な仕組み

所得税は、個人が1年間(1月1日から12月31日まで)に得た所得に対して課される税金で、所得が高くなるほど税率が段階的に高くなる超過累進課税が採用されています。所得税の計算は、所得を10種類に分類し、それぞれの所得金額を計算したうえで合算する「総合課税」を原則としつつ、一部の所得については他の所得と合算せず分離して税額を計算する「分離課税」が採用されている点が特徴です。利子所得や上場株式等の譲渡所得などは分離課税の代表例です。

3. 10種類の所得と計算方法

所得税における所得は、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得の10種類に分類されます。それぞれ収入から差し引ける必要経費や控除の考え方が異なり、例えば給与所得は収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算し、退職所得は退職金の性質上、税負担が軽減されるよう退職所得控除額を差し引いた金額のさらに2分の1を課税対象とする仕組みになっています(勤続年数が短い一部の役員等を除く)。一時所得は生命保険の満期保険金など一時的な性質の所得を指し、収入から支出した金額と特別控除額を差し引いた金額のさらに2分の1が課税対象になる点が頻出です。

4. 損益通算のルール

複数の所得の中に赤字(損失)が生じた場合、一定の所得どうしであればその赤字を他の黒字の所得と相殺できる仕組みを損益通算といいます。損益通算の対象となるのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つの所得に生じた損失に限られる点が最重要ポイントです(覚え方として頭文字を取って「不事山譲(ふじさんじょう)」と呼ばれることがあります)。ただし同じ譲渡所得でも、土地・建物等の譲渡による損失や、生活に必要でない資産(ゴルフ会員権など)の譲渡による損失は、損益通算の対象外となるなど例外がある点に注意が必要です。上場株式等の譲渡損失についても、原則として他の所得とは損益通算できません。

5. 所得控除の仕組み

所得税額は、所得金額からさまざまな所得控除を差し引いた「課税所得金額」に税率を適用して計算されます。所得控除には、社会保険料控除(本人や生計を一にする家族の社会保険料を支払った場合)、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除(一定額を超える医療費を支払った場合)、扶養控除(一定の要件を満たす親族を扶養している場合)、配偶者控除・配偶者特別控除など、個人の事情に応じた負担調整を行う控除が複数あります。それぞれどのような支出・扶養関係があれば適用されるのかという「適用要件」を中心に理解しておくとよいでしょう。なお、所得税の基礎控除や給与所得控除の金額は税制改正の影響を受けやすいため、本記事では具体的な金額には触れず、制度の存在と仕組みの理解にとどめています。

6. 税額控除の仕組み

所得控除が「課税所得金額」を減らす仕組みであるのに対し、税額控除は計算された税額そのものから直接差し引く仕組みです。代表例が住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)で、一定の要件を満たす住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末のローン残高に応じて一定期間、所得税額から控除を受けられる制度です。適用には床面積や借入期間などの要件があり、原則として住宅を取得した年分は確定申告が必要になる点も押さえておきましょう(会社員の場合、2年目以降は年末調整で適用を受けられます)。

7. 所得税の申告と納付

所得税は納税者自身が所得と税額を計算して申告する申告納税制度が原則です。会社員などの給与所得者は、勤務先が行う年末調整によって所得税の精算が完了するため、原則として確定申告は不要ですが、給与収入が一定額を超える場合や、医療費控除・住宅ローン控除(初年度)などの適用を受ける場合には確定申告が必要です。個人事業主などが利用できる青色申告制度は、一定の帳簿書類を備え付けて申告することで、青色申告特別控除や純損失の繰越控除など税制上の優遇を受けられる制度で、事前に税務署へ届出書を提出する必要がある点も頻出です。

理解度チェック(4問)

ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。

Q1. 所得税は、納税者本人が所得の金額とそれに対する税額を計算し、自ら申告して納付する申告納税方式を採用している。

答えと解説

正解:○

所得税や法人税、相続税は申告納税方式です。これに対し、住民税や固定資産税のように課税庁が税額を計算して通知するのは賦課課税方式です。

Q2. 一時所得の金額の計算上、収入を得るために支出した金額を控除した後、特別控除額として最高50万円を控除することができる。

答えと解説

正解:○

一時所得=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)です。さらに総所得金額に算入する際は、その2分の1の金額を合算します。

Q3. 所得税における総合課税の税率の仕組みとして、正しいものは次のうちどれか。

答えと解説

正解:3. 課税所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率

所得税の総合課税では、5%から45%までの7段階の超過累進税率が適用されます。課税所得を段階ごとに区切り、各段階の部分にそれぞれの税率を適用する仕組みです。

Q4. Jさん(給与所得者・総所得金額600万円)の当年中に支払った医療費等が下記<資料>のとおりである場合、所得税における医療費控除の額として、正しいものはどれか。

<資料>
項目金額
入院・手術の費用40万円
通院のための電車代3万円
人間ドック(異常なし)の費用6万円
保険会社から受け取った入院給付金12万円
答えと解説

正解:1. 21万円

医療費控除は「支払った医療費-保険金等で補填される金額-10万円」で計算します。通院の電車代は控除の対象になりますが、異常が見つからなかった人間ドックの費用は対象外です。総所得金額等が200万円以上なので差し引くのは一律10万円です。

  1. 対象となる医療費 40万円 + 3万円 = 43万円
  2. 43万円 - 入院給付金12万円 = 31万円
  3. 31万円 - 10万円 = 21万円
同じ分野の問題をFノピで続けて解く(無料・登録不要)→

間違えやすいポイント・覚え方

タックスプランニングで特に間違えやすいのは、損益通算できる所得とできない所得の区別です。「不事山譲」の4つ以外は原則として損益通算できないこと、さらに同じ譲渡所得の中でも土地・建物等や生活に必要でない資産の譲渡損失は対象外という「例外の中の例外」がよく出題されます。また所得控除と税額控除の違い(課税所得から引くのか、税額から直接引くのか)を混同しないよう、住宅ローン控除は税額控除、医療費控除は所得控除、というように代表例とセットで整理しておくと本番で迷いません。

学習のコツとまとめ

タックスプランニングは覚える制度の数が多く感じられますが、「所得の分類→損益通算→所得控除→税額控除→申告・納付」という所得税計算の流れに沿って学習すると全体像がつかみやすくなります。数値が変わりやすい控除額そのものを丸暗記するより、それぞれの制度が「誰の」「どのような支出・事情」を軽減するために存在するのかという趣旨を理解しておくことが、制度改正があっても対応できる実力につながります。

この分野の詳しい解説

タックスプランニングのなかでも特に問われやすい論点は、テーマ別の記事で個別に掘り下げています。

Fノピでこの分野の問題を無料で演習する →

本記事は2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づきます。最新の法令は公式情報をご確認ください。