株価指標の計算|PER・PBR・ROE・配当利回りの見分け方
PER・PBR・ROE・配当利回りといった株価指標は、FP3級の「金融資産運用」で毎回のように問われます。どれも割り算ひとつで求まるので、算式さえ正確に覚えていれば確実な得点源です。にもかかわらず取りこぼしやすいのは、似た名前の指標どうしで分母がすり替えられて出題されるからです。この記事では、指標を「何を何で割るか」で一覧にし、混同しやすいペアを対比で整理します。
1. まず全体を一覧で押さえる
試験に出る主要な指標は次のとおりです。算式の丸暗記より、分母が何かに注目すると混ざりません。
| 指標 | 算式 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| PER(株価収益率) | 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS) | 低いほど割安 |
| PBR(株価純資産倍率) | 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS) | 低いほど割安 |
| ROE(自己資本利益率) | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 | 高いほど資本効率が良い |
| ROA(総資産利益率) | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 | 高いほど資産効率が良い |
| 配当利回り | 1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100 | 投資額に対する配当の割合 |
| 配当性向 | 1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益 × 100 | 利益のうち配当に回した割合 |
| 自己資本比率 | 自己資本 ÷ 総資産 × 100 | 高いほど財務の安全性が高い |
2. PERとPBR — 分母がEPSかBPSか
この2つは名前も役割も似ていますが、分母が違います。
- PER = 株価 ÷ 1株当たり純利益(EPS) … 利益に対して株価が何倍か
- PBR = 株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS) … 純資産に対して株価が何倍か
「PERは株価を1株当たり純資産で除して算出する」といった形で、2つの分母を入れ替えた○×問題が繰り返し出ています。これは誤りで、純資産で割るのはPBRのほうです。PER の「E」は Earnings(利益)、PBR の「B」は Book value(純資産)と、頭文字で紐づけると取り違えません。
計算例
- 株価1,500円・EPS100円 → PER = 1,500 ÷ 100 = 15倍
- 株価1,500円・BPS1,000円 → PBR = 1,500 ÷ 1,000 = 1.5倍
もう一つの頻出は「高いほど割安か、低いほど割安か」です。PER・PBRとも、数値が低いほど株価は割安と判断されます。「PBRは数値が高いほど割安である」は誤りです。株価が分子にあるのだから、値が小さい=株価が相対的に安い、と考えれば迷いません。
3. ROE・ROA・売上高当期純利益率 — 分子は同じ、分母が違う
この3つは分子がすべて「当期純利益」で共通し、分母だけが入れ替わります。ここが狙われます。
| 指標 | 分母 | 算式 |
|---|---|---|
| ROE(自己資本利益率) | 自己資本 | 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 |
| ROA(総資産利益率) | 総資産 | 当期純利益 ÷ 総資産 × 100 |
| 売上高当期純利益率 | 売上高 | 当期純利益 ÷ 売上高 × 100 |
ROEは株主が出した自己資本をどれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標で、数値が高いほど資本効率が良いと判断されます。選択肢に「当期純利益÷総資産」が混ざっていたらROAなので誤りです。
計算例
- 当期純利益80億円・自己資本1,000億円 → ROE = 80 ÷ 1,000 × 100 = 8%
4. 配当利回りと配当性向 — 分母が株価か利益か
「配当」がつく2つの指標も、分子は同じで分母が違うパターンです。
- 配当利回り = 1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100 … 投資額に対する配当の割合
- 配当性向 = 1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益 × 100 … 稼いだ利益のうち配当に回した割合
「投資した人から見た利回り」が配当利回り、「会社から見た配分の姿勢」が配当性向、と役割で分けると混ざりません。なお配当利回りは分子と分母を逆にした選択肢(株価 ÷ 配当金)もよく並ぶので、割り算の向きも確認してください。
計算例
- 株価2,000円・1株当たり年間配当金50円 → 配当利回り = 50 ÷ 2,000 × 100 = 2.5%
- 1株当たり配当金50円・EPS200円 → 配当性向 = 50 ÷ 200 × 100 = 25%
5. 自己資本比率 — 分子と分母の向きに注意
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100。総資産のうち返済不要の自己資本がどれだけあるかを示し、数値が高いほど負債への依存度が低く、財務の安全性が高いと判断されます。
ひっかけは2種類あります。1つはROEとの取り違え(当期純利益÷自己資本はROEで、こちらは収益性の指標)。もう1つは分子と分母を逆にしたもので、総資産÷自己資本は「財務レバレッジ」という別の指標になります。
6. 指標がどう使われるかも問われる
算式だけでなく、指標の使われ方を問う出題もあります。
- バリュー運用:PERやPBRなどから見て株価が割安と判断される銘柄に投資するスタイル。成長性を重視するグロース運用と対になります
- JPX日経インデックス400:ROEなどの資本効率や投資家目線の経営を重視して400銘柄が選定される株価指数。時価総額や流動性を基準とする日経平均株価(225銘柄)やTOPIX(浮動株調整後の時価総額加重型)とは選定の考え方が異なります
7. 解くときの手順
指標の問題は、次の順で確認すれば取り違えません。
- ① 分子は何か(株価か、当期純利益か、配当金か、自己資本か)
- ② 分母は何か — 似た指標との違いはほぼここ(EPSかBPSか/自己資本か総資産か売上高か/株価か1株当たり純利益か)
- ③ 割り算の向きが逆になっていないか
- ④ 「高いほど良い」のか「低いほど割安」なのかを確認する
理解度チェック(3問)
ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。
Q1. PER(株価収益率)は、株価を1株当たり純資産で除して算出される指標である。
答えと解説
正解:×
PERは「株価÷1株当たり純利益(EPS)」で算出します。株価を1株当たり純資産(BPS)で除するのはPBR(株価純資産倍率)です。PER・PBRとも数値が低いほど株価は割安と判断されます。
Q2. 株式の配当利回りの算出方法として、正しいものは次のうちどれか。
答えと解説
正解:1. 1株当たり年間配当金÷株価×100
配当利回りは投資額(株価)に対する年間配当金の割合で、「1株当たり年間配当金÷株価×100」で算出します。
Q3. ROE(自己資本利益率)の算出方法として、正しいものは次のうちどれか。
答えと解説
正解:3. 当期純利益÷自己資本×100
ROEは株主が出資した自己資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標で、「当期純利益÷自己資本×100」で算出します。数値が高いほど資本効率が良いと判断されます。
まとめ
株価指標はどれも割り算ひとつですが、出題の狙いは算式そのものではなく、似た指標との区別にあります。PERはEPS・PBRはBPS、ROEは自己資本・ROAは総資産、配当利回りは株価・配当性向は1株当たり純利益——この3組の「分母の違い」を押さえ、あわせてPER・PBRは低いほど割安という向きを覚えれば、この分野は安定して取れます。Fノピの無料演習には各指標の算式を問う問題を複数収録しているので、実際に計算して手を慣らしてみてください。
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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。本文中の株価・利益などの数値は算式を説明するための仮の例であり、特定の銘柄や実際の市場の数値を示すものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。