借地借家法の要点|普通借家と定期借家・3つの定期借地権
借地借家法は、FP3級の「不動産」で毎回のように問われる分野です。覚えることが多そうに見えますが、出題の中心ははっきりしていて、「更新があるほう(普通)」と「更新がないほう(定期)」を対比させる形にほぼ集約されます。この記事では、まず建物を借りる借家の2類型を対比し、続いて土地を借りる借地権の4類型を存続期間で整理します。
1. 普通借家契約と定期借家契約の対比
建物の賃貸借は、更新される普通借家契約と、期間満了で確定的に終了する定期借家契約の2つに分かれます。違いが出るのは次の3点です。
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 更新 | あり(貸主からの更新拒絶には正当の事由が必要) | なし(期間満了で終了) |
| 契約の方式 | 制限なし(口頭でも可) | 書面(電磁的記録も可)が必要 |
| 期間を1年未満とした場合 | 期間の定めのない賃貸借とみなされる | そのまま有効 |
1年未満の期間がいちばん狙われる
「存続期間を6か月と定めた普通建物賃貸借契約は、その期間の契約として有効か」という形で頻出します。答えは誤りで、普通借家で1年未満と定めると「期間の定めのない賃貸借」とみなされます。ここで「1年とみなされる」と書かれた選択肢が混ざりますが、これも誤りです。一方、定期借家なら1年未満の期間も有効に定められます。この対比がそのまま設問になります。
定期借家には事前の説明義務がある
定期借家契約は書面(電磁的記録も可)で締結しなければなりません。「公正証書に限られる」という選択肢は誤りです(公正証書が必須なのは後述する事業用定期借地権のほう)。
さらに貸主は、契約に先立って「更新がなく、期間の満了により終了する」旨を記載した書面等を交付して説明する必要があります。契約書とは別に、この事前説明が要る点が問われます。
定期借家の中途解約の特例
定期借家は原則として中途解約できませんが、借主に配慮した特例があります。適用されるのは床面積200㎡未満の居住用建物に限られ、転勤・療養・親族の介護などのやむを得ない事情で自己使用が困難になった場合に、借主から解約を申し入れられます。申入れの日から1か月で契約は終了します。
「200㎡以上の居住用建物でも、やむを得ない事情があればいつでも中途解約できる」は誤りです。200㎡未満という面積要件を落とさないでください。
2. 借家に共通するルール
普通・定期どちらにも共通して問われる論点が2つあります。
対抗要件は「建物の引渡し」
建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物の所有権を取得した第三者などに賃借権を対抗できます。実際に住んでいれば保護される、という仕組みです。「登記がなければ対抗できない」は誤りです。
造作買取請求権は特約で外せる
賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加したエアコン・畳・建具などの造作は、賃貸借の終了時に時価での買取りを請求できます(造作買取請求権)。ただしこの規定は任意規定なので、「造作は買い取らない」という特約も有効です。「特約では排除できない」は誤りです。
3. 借地権は存続期間で4つに分かれる
土地を借りる側の借地権は、更新のある普通借地権と、更新のない定期借地権3種類に分かれます。存続期間と契約方式が問われるので、表で押さえるのが早道です。
| 種類 | 存続期間 | 契約の方式 |
|---|---|---|
| 普通借地権 | 30年以上(定めなければ30年) | 制限なし |
| 一般定期借地権 | 50年以上 | 書面(電磁的記録も可) |
| 事業用定期借地権等 | 10年以上50年未満 | 公正証書に限る |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 制限なし |
間違えやすいポイント
- 普通借地権の更新後の期間は、最初の更新で20年以上、2回目以降は10年以上。当初の30年とセットで覚えます
- 事業用定期借地権だけが公正証書必須です。一般定期借地権は書面(電磁的記録も可)でよく、この違いが繰り返し問われます。また事業用定期借地権は居住用建物の所有を目的にできません
- 建物譲渡特約付借地権は30年以上。一般定期借地権の50年以上と混同させる出題があります。期間満了時に借地権設定者が建物を買い取る特約が付いており、借地権はその買取りによって消滅します
4. 借地の対抗要件と建物の再築
対抗要件は「借地上の建物の登記」
借地権者は、借地権の登記がなくても、借地上に自分名義で登記された建物を所有していれば、借地権を第三者に対抗できます。建物の登記は自分単独で申請できるため、地主の協力が得られなくても対抗力を備えられる仕組みです。
借家は「建物の引渡し」、借地は「借地上の建物の登記」——対抗要件がそれぞれ違う点を、セットで覚えてください。「土地の引渡しを受けていること」は借地の対抗要件ではありません。
建物を再築したとき
当初の存続期間中に借地上の建物が滅失し、借地権者が土地所有者の承諾を得て残存期間を超えて存続する建物を再築した場合、借地権の存続期間は承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します(残存期間のほうが長いときや、当事者がより長い期間を定めたときはその期間によります)。承諾を得ずに再築すると、地主から解約を申し入れられることがあります。
5. 解くときの手順
- ① 借りているのは建物か土地か(借家か借地か)を確認する
- ② 更新があるほう(普通)か、ないほう(定期)かを見る
- ③ 借家なら → 書面要件・1年未満の扱い・中途解約の特例(200㎡未満の居住用)を確認
- ④ 借地なら → 存続期間の数字(30年/50年/10年以上50年未満/30年)と、公正証書が要るかを確認
- ⑤ 対抗要件が問われていたら → 借家は引渡し、借地は建物の登記
理解度チェック(3問)
ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。
Q1. 借地借家法における普通借地権の存続期間は、契約で期間を定めなかった場合、30年である。
答えと解説
正解:○
普通借地権の存続期間は30年以上で定め、期間の定めがない場合は30年となります。更新後の期間は最初の更新で20年以上、2回目以降は10年以上です。
Q2. 定期建物賃貸借契約(定期借家契約)は、公正証書等の書面または電磁的記録によって締結しなければならない。
答えと解説
正解:○
定期借家契約は書面(電磁的記録も可)で締結する必要があります(公正証書に限られません)。また、貸主はあらかじめ「更新がなく期間満了により終了する」旨を記載した書面等を交付して説明しなければなりません。
Q3. 借地借家法における一般定期借地権の存続期間は、次のうちどれか。
答えと解説
正解:3. 50年以上
一般定期借地権の存続期間は50年以上で、契約の更新がなく、期間満了により確定的に終了します。契約は公正証書等の書面(電磁的記録も可)で行います。
まとめ
借地借家法は「更新のある普通 vs 更新のない定期」という一本の軸で整理できます。借家では普通は1年未満だと期間の定めのない契約になる/定期は1年未満も有効、定期は書面が必要で事前説明も要る、中途解約の特例は200㎡未満の居住用の3点。借地では30年・50年・10年以上50年未満・30年という存続期間と、事業用定期借地権だけ公正証書必須を押さえれば十分戦えます。Fノピの無料演習には借地借家法の問題を複数収録しているので、対比表を思い出しながら解いてみてください。
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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。