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暦年課税と相続時精算課税の違い|FP3級目線で比較

贈与税の課税方法には暦年課税相続時精算課税の2つがあり、FP3級の「相続・事業承継」で頻出のテーマです。どちらを選ぶかで税負担も手続きも変わるうえ、2024年(令和6年)分から両制度とも大きく見直されたため、混乱しやすい論点になっています。この記事では、2つの制度の違いを「控除のかたち」「相続が起きたときの扱い」「戻れるかどうか」の3点を軸に整理します。

1. 贈与税の課税方法は2つある

個人から財産をもらったときにかかるのが贈与税です。その計算方法として、原則となる暦年課税と、一定の要件を満たす場合に選択できる相続時精算課税があります。相続時精算課税は「贈与のときにいったん軽く課税し、相続のときにまとめて精算する」という考え方の制度で、名前のとおり相続と一体で捉える点が最大の特徴です。

2. 暦年課税の仕組み

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除110万円を差し引き、残額に超過累進税率を適用して贈与税を計算します。基礎控除は受贈者(もらう人)1人あたりで判定するため、複数の人からもらった場合も合計額から110万円を引く点に注意が必要です。年間110万円以下であれば贈与税はかからず、申告も不要です。

税率には、直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子や孫が受け取る場合に適用される特例税率と、それ以外の一般税率の2種類があり、特例税率のほうが負担が軽くなります。

3. 相続時精算課税の仕組み

相続時精算課税は、原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、受贈者が選択できる制度です。贈与者ごとに累計2,500万円の特別控除があり、これを超えた部分に一律20%の贈与税がかかります。

2024年分以後は、この特別控除とは別枠で年110万円の基礎控除が設けられました。年110万円以下の贈与であれば贈与税はかからず、申告も不要で、しかも後述する相続時の加算対象にもなりません。改正前は少額の贈与でも毎年申告が必要だったため、使い勝手が大きく改善した点として押さえておきましょう。

4. 比較表

項目暦年課税相続時精算課税
適用原則(何もしなければこちら)選択制(届出が必要)
贈与者・受贈者の要件なし(誰から誰へでも可)原則60歳以上の父母・祖父母 → 18歳以上の子・孫
控除基礎控除 年110万円特別控除 累計2,500万円
+基礎控除 年110万円(2024年分以後)
税率超過累進税率(特例税率/一般税率)一律20%(特別控除を超えた部分)
相続時の扱い相続開始前の一定期間の贈与を相続財産に加算贈与財産を相続財産に加算して精算(基礎控除110万円分を除く)
変更選択後は暦年課税に戻れない

5. 2024年(令和6年)分からの改正点

試験でも実務でも押さえておきたい改正が2つあります。

この2つを合わせると、「少額をこつこつ贈与するなら相続時精算課税の基礎控除が有利になりうる」「暦年課税による生前贈与は早めに始めないと相続財産に取り込まれやすくなった」という方向の改正だと理解できます。

6. 選ぶときの注意点

相続時精算課税で最も重要な注意点は、いったん選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税に戻すことができないことです。選択は贈与者ごとに行うため、「父からの贈与は相続時精算課税、母からの贈与は暦年課税」という組み合わせは可能ですが、同じ贈与者について後から切り替えることはできません。

また、相続時精算課税を選択するには、最初に贈与を受けた年の翌年に、贈与税の申告期限までに「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。届出を出さなければ自動的に暦年課税として扱われます。

理解度チェック(3問)

ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。

Q1. 暦年課税による贈与税の基礎控除額は、受贈者1人につき年間110万円である。

答えと解説

正解:○

暦年課税の基礎控除は受贈者ごとに年間110万円です。複数人から贈与を受けても、受贈者1人あたりの控除額は合計110万円です。贈与税の申告期限は翌年2月1日から3月15日までです。

Q2. 相続時精算課税制度を選択した受贈者は、特別控除額2,500万円とは別に、年110万円の基礎控除の適用を受けることができる。

答えと解説

正解:○

2024年1月以後の贈与から、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が創設されました。基礎控除以下の贈与は申告不要で、相続時の加算対象にもなりません。特別控除2,500万円を超えた部分には一律20%の贈与税が課されます。

Q3. 贈与税の配偶者控除は、婚姻期間が( ア )以上の配偶者から居住用不動産等の贈与を受けた場合、基礎控除とは別に最高( イ )を控除できる制度である。( ア )( イ )の組合せとして正しいものはどれか。

答えと解説

正解:2. (ア)20年 (イ)2,000万円

贈与税の配偶者控除は、婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円まで控除できる制度です(同一配偶者間で一生に一度のみ)。

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FP3級での出題ポイント

試験では、(1) 暦年課税の基礎控除110万円は受贈者1人あたり・年単位であること、(2) 相続時精算課税は贈与者ごとに累計2,500万円の特別控除で、超過部分は一律20%であること、(3) 相続時精算課税を選択すると暦年課税に戻れないこと、(4) 適用には年齢要件(原則60歳以上→18歳以上)があること、が繰り返し問われます。数字と要件をセットで覚えるのが近道です。

まとめ

暦年課税は「毎年110万円まで非課税、超えたら累進課税」、相続時精算課税は「累計2,500万円まで贈与税なし、超えたら一律20%、相続のときに精算」という骨格で捉えると整理できます。2024年分からは相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が加わり、暦年課税では生前贈与の加算期間が7年に延長されました。どちらが有利かは贈与の金額・回数・相続までの期間で変わるため、仕組みの違いを理解したうえで判断することが大切です。Fノピの無料演習で、贈与税と相続税の関連問題を解いて定着させましょう。

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本記事は2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づきます。控除額・税率・加算期間などは改正されることがあります。実際の贈与にあたっては、最新の法令・制度を公式情報でご確認のうえ、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。