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公的医療保険の給付|自己負担割合と4つの給付

公的医療保険は、FP3級の「ライフプランニングと資金計画」で毎回のように問われる論点です。制度が3つ(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)あり、給付も複数あるため、整理しないまま数字だけ覚えると必ず混ざります。この記事では、まず年齢で自己負担割合を押さえ、そのうえでお金が出る給付を4つに絞って整理します。最後に、混同しやすい公的介護保険との違いもまとめます。

1. 制度は3つある

誰がどの制度に入るかで、保険者も給付内容も変わります。

制度主な対象
健康保険会社員などの被用者とその被扶養者
国民健康保険自営業者・退職者など、被用者保険に入っていない人
後期高齢者医療制度75歳以上の人

後期高齢者医療制度の対象は75歳以上です。65歳以上75歳未満でも、一定の障害認定を受けた人は対象になります。

「70歳以上」という選択肢が出てきたら誤りです。70歳〜74歳は健康保険や国民健康保険に入ったまま、自己負担割合だけが変わる区分で、制度そのものは移りません。ここは狙われます。

2. 自己負担割合は年齢で決まる

医療機関の窓口で払う一部負担金の割合です。年齢の階段として覚えると混ざりません。

年齢自己負担割合
未就学児(小学校入学前)2割
小学校入学後〜70歳未満3割
70歳〜74歳原則2割
75歳以上(後期高齢者)原則1割

形としては2割 → 3割 → 2割 → 1割と動きます。真ん中の現役世代が最も高く、その前後で軽くなる、と理解しておくと順序を思い出せます。なお70歳以降でも現役並みの所得がある人は3割です。

3. 高額療養費は「何が対象外か」で問われる

高額療養費は、1か月の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えたとき、超えた分があとから支給される制度です。限度額は年齢と所得の区分で決まります。

試験で問われるのは限度額そのものより、何がこの制度の対象にならないかです。

共通しているのは保険適用外の費用だという点です。高額療養費が面倒をみてくれるのは保険が適用される医療費の自己負担分だけで、保険の外側にある費用は対象になりません。

裏を返せば、この対象外の部分こそ民間の医療保険で備える必要がある領域ということになります。FPの提案としてもそのまま使える理屈です。民間の医療保険から受け取る給付金の課税関係は生命保険と税金で扱っています。

4. 傷病手当金(働けない間の所得補償)

病気やケガで働けず給与が受けられないときに、健康保険から支給されます。数字が2つ問われます。

支給期間は「通算して」である点が改正論点です(2022年1月から)。途中で復職して不支給になった期間は、支給期間にカウントされません。以前のように「暦の上で1年6か月経ったら終わり」ではなくなっています。

3分の2と4分の3を取り違えない

割合の数字は、他制度と紛らわしいので対で覚えてください。

割合どの制度か
3分の2傷病手当金(標準報酬日額相当額に対して)
4分の3遺族厚生年金(老齢厚生年金の報酬比例部分に対して)

5. 出産育児一時金

健康保険の被保険者が出産した場合に支給されます。額は1児につき原則50万円です(産科医療補償制度に加入していない医療機関等での出産は48.8万円)。

「42万円」という選択肢が並びますが、これは2023年3月以前の金額です。引き上げられている点を押さえてください。

6. 任意継続被保険者(退職後も健康保険を続ける)

退職して被保険者資格を失っても、申し出れば健康保険に加入し続けられる制度です。3つの数字がセットで問われます。

要件・期間内容
必要な被保険者期間資格喪失日の前日まで継続して2か月以上
申請期限資格喪失日から20日以内
加入できる期間最長2年

そして保険料は全額自己負担になります。在職中は事業主と折半していた分がなくなるため、負担感が増える点も理解しておきましょう。

2か月以上・20日以内・最長2年」を1つの塊として覚えるのが確実です。1年や3年という選択肢は誤りです。

7. 公的介護保険との違い

同じ社会保険でも、介護保険は被保険者の区分も負担割合も別物です。混同を狙った出題があるので、対比で押さえます。

項目公的介護保険
第1号被保険者65歳以上
第2号被保険者40歳以上65歳未満の医療保険加入者
第2号の給付要件末期がん・初老期認知症などの特定疾病により要介護・要支援状態になった場合に限る
利用者負担原則1割(第1号のうち一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割)

注意点は2つあります。

第2号被保険者が「40歳以上65歳未満の医療保険加入者」と定義されている点にも注目してください。公的医療保険に入っていることが介護保険の第2号被保険者になる前提であり、2つの制度はここでつながっています。

8. 数字のまとめ

数字何の数字か
3割医療費の自己負担(小学校入学後70歳未満)
2割医療費の自己負担(未就学児/70〜74歳)
1割医療費の自己負担(75歳以上)/介護保険の利用者負担(原則)
75歳後期高齢者医療制度の対象年齢
1年6か月傷病手当金の支給期間(通算
3分の2傷病手当金の支給割合
2か月・20日・2年任意継続(被保険者期間・申請期限・加入期間)
65歳/40歳介護保険の第1号/第2号被保険者

9. 解くときの手順

理解度チェック(3問)

ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。

Q1. 健康保険の被保険者(小学校入学後70歳未満)が医療機関で療養の給付を受けた場合の一部負担金の割合は、次のうちどれか。

答えと解説

正解:3. 3割

医療費の自己負担割合は、小学校入学後70歳未満が3割、未就学児が2割、70〜74歳が原則2割、75歳以上(後期高齢者)が原則1割です。年齢層ごとに整理して覚えましょう。

Q2. 健康保険の高額療養費制度では、差額ベッド代(特別室料)や入院時の食事代(標準負担額)は支給の対象とならない。

答えと解説

正解:○

高額療養費は保険適用の医療費の自己負担分が対象であり、差額ベッド代・入院時の食事代・先進医療の技術料など保険適用外の費用は対象外です。医療保険で備える必要があるのはこうした費用です。

Q3. 健康保険の被保険者が出産した場合に支給される出産育児一時金の額は、原則として1児につきいくらか。

答えと解説

正解:2. 50万円

出産育児一時金は、2023年4月から1児につき原則50万円に引き上げられました(産科医療補償制度に加入していない医療機関等での出産は48.8万円)。

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まとめ

公的医療保険は、年齢で決まる自己負担割合を軸に置けば全体が整理できます。そのうえで、高額療養費は保険適用外の費用が対象外であること、傷病手当金は通算1年6か月・3分の2であること、任意継続は2か月・20日・2年で保険料は全額自己負担であること、そして後期高齢者医療制度は75歳からであること。この4点を押さえれば、この論点はほぼ取りこぼしません。混同しやすい介護保険の原則1割もセットで確認しておきましょう。Fノピの無料演習には公的医療保険の給付を問う問題を複数収録しているので、実際に年齢や数字を当てはめる練習をしてみてください。

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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。記載した給付額・自己負担割合は本記事作成時点の制度によるものです。高額療養費の自己負担限度額は年齢・所得区分により異なり改定もされるため、本記事では実額を記載していません。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。