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遺族年金のしくみ|遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件をFP3級目線で整理

遺族年金は、公的年金の加入者や受給者が亡くなったとき、生計を維持されていた遺族に支給される給付です。FP3級では「誰が受け取れるか」という受給者の範囲と、加算のしくみが繰り返し問われます。金額そのものを覚える必要はほとんどなく、要件を正確に押さえられるかどうかで差がつく論点です。この記事では、混同しやすい2つの年金の違いと、ひっかけの定番を整理します。

1. 遺族給付も「2階建て」で考える

公的年金の老齢給付が国民年金(1階)と厚生年金(2階)の2階建てになっているのと同じく、遺族給付にも遺族基礎年金遺族厚生年金の2つがあります。自営業者など国民年金だけに加入していた方が亡くなった場合は遺族基礎年金のみ、会社員など厚生年金に加入していた方が亡くなった場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されうる、という構造です。

この2つは受給できる遺族の範囲が違います。そこが試験で最も狙われるところなので、まず「誰が受け取れるか」から押さえてください。

2. 遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」だけ

遺族基礎年金を受給できるのは、「子のある配偶者」または「子」に限られます。裏を返すと、子のない配偶者は遺族基礎年金を受給できません。ここが最頻出のひっかけで、「遺族基礎年金は子のない配偶者に対しても支給される」という記述は誤りになります。

「遺族の生活保障」というイメージから、配偶者なら誰でも受け取れそうに感じてしまいますが、遺族基礎年金は子の養育を支えるための給付という性格を持っています。だからこそ子の存在が要件になっている、と理解しておくと忘れにくくなります。

3. 年金制度でいう「子」は18歳到達年度の末日まで

では、その「子」とは何歳までを指すのでしょうか。年金制度上の「子」は、原則として18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(18歳到達年度の末日まで)の子を指します。あわせて、20歳未満で障害等級1級・2級に該当する子も対象に含まれます。

「高校を卒業するまで」と覚えると実感を伴って記憶できます。誕生日ではなく年度末で区切る点が要注意で、単に「18歳まで」と覚えていると細かい選択肢で迷います。

年齢の数字にはまぎらわしいものがあります。16歳という基準は年金制度にはなく、これは所得税の扶養控除の対象年齢(16歳以上)と混同させるための選択肢です。20歳が基準になるのは障害等級1級・2級に該当する子の場合だけで、原則ではありません。

4. 子の加算は「1人あたり同額」ではない

遺族基礎年金には、対象となる子の人数に応じた子の加算があります。ここで問われやすいのが加算の単価で、第1子・第2子と第3子以降とで1人あたりの金額が異なり、第3子以降は少なくなります

したがって「子の加算額は、子の人数にかかわらず1人あたり同額である」という記述は誤りです。子の人数が増えれば加算の合計額は増えていきますが、1人あたりの単価が一律ではないという点を正確に区別してください。

なお、遺族基礎年金の基本額や子の加算額は年度ごとに改定されるため、本記事では実額を記載していません。試験対策としても、金額の暗記より「単価が一律ではない」というしくみの理解が問われます。

5. 遺族厚生年金は子がいなくても受給できる

遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違って子がいなくても配偶者が受給できます。「遺族基礎年金は子が要件、遺族厚生年金は子が要件ではない」という対比で覚えるのが最短です。

金額は、死亡した方の厚生年金保険の被保険者記録をもとに計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額が原則です。この割合はそのまま出題されるので、数字で覚えてください。

あわせて、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算するという取扱いがあります。若くして亡くなった場合に年金額が極端に少なくなってしまうのを防ぐための措置です。

割合の選択肢では3分の2がよく混ぜられますが、これは健康保険の傷病手当金の支給割合(標準報酬日額相当の3分の2)です。5分の4という割合は年金制度にはありません。

6. 子のない30歳未満の妻は5年の有期給付

遺族厚生年金は子がいなくても受給できると書きましたが、例外があります。夫の死亡当時に子のない30歳未満の妻に支給される遺族厚生年金は、5年間の有期給付とされます。

若く、子の養育もない場合には就労による生活再建が期待できる、という考え方に基づく取扱いです。30歳以上で子のない妻や、次に説明する中高齢寡婦加算の対象となる妻とは扱いが異なる点に注意してください。年齢と子の有無という2つの軸で場合分けされる、と整理しておくと混乱しません。

7. 中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満

中高齢寡婦加算は、夫の死亡当時に子のない妻(または子が年金上の「子」でなくなった妻)の遺族厚生年金に加算されるもので、原則として妻が40歳以上65歳未満であるときに加算されます。

なぜ65歳で終わるのか。妻が65歳になると自身の老齢基礎年金を受給できるようになるため、それまでのつなぎとして加算する、という趣旨だからです。この理由まで理解しておけば、選択肢の60歳未満を選んでしまう誤りを防げます。開始年齢を45歳とする選択肢も定番のひっかけです。

子のない妻に対する加算である点にも注目してください。子がいる間は遺族基礎年金と子の加算が支給されるため、それがなくなった局面を補うのが中高齢寡婦加算という位置づけです。

8. 経過的寡婦加算 — 名前の似た3つの加算を区別する

中高齢寡婦加算が65歳で打ち切られる代わりに、生年月日に応じた一定の妻について、65歳以後の老齢基礎年金に加算されるしくみが経過的寡婦加算です。対象は昭和31年4月1日以前生まれの妻で、生年月日が遅いほど加算額は少なくなります

この論点は、名前の似た加算との区別がそのまま出題されます。

3つとも「加算」で紛らわしいのですが、経過的寡婦加算は遺族給付の話、振替加算と加給年金は老齢給付の話と大きく分けてしまうのが実戦的です。

9. 遺族年金は非課税

税金の扱いも押さえておきましょう。遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)と障害年金は所得税が非課税です。「公的年金制度から支給される遺族年金や障害年金は、所得税の課税対象となる」という記述は誤りになります。

課税対象になるのは老齢年金で、雑所得(公的年金等)として公的年金等控除の適用を受けます。老齢は課税、遺族と障害は非課税という対比で覚えてください。タックスプランニング分野でもそのまま出題される論点です。

理解度チェック(3問)

ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。

Q1. 遺族基礎年金は、子のない配偶者に対しても支給される。

答えと解説

正解:×

遺族基礎年金を受給できるのは「子のある配偶者」または「子」に限られます。子のない配偶者は受給できません(遺族厚生年金は子がなくても受給可能)。子とは18歳到達年度末までの子等を指します。

Q2. 遺族基礎年金の支給対象となる「子」とは、原則として、何歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子か。

答えと解説

正解:2. 18歳

年金制度上の「子」は、18歳到達年度の末日(3月31日)までの子、または20歳未満で障害等級1級・2級の子を指します。高校卒業までの子と覚えましょう。

Q3. 遺族厚生年金の年金額は、原則として、死亡した者の厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( )に相当する額である。

答えと解説

正解:2. 4分の3

遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額です。被保険者期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算されます。

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間違えやすいポイント・覚え方

この論点でつまずきやすいのは、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給者の範囲を取り違えることです。「基礎は子が要件、厚生は子が要件ではない」という一点をまず固めてください。そのうえで、遺族厚生年金には子のない30歳未満の妻は5年の有期という例外があること、中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満であることを重ねていくと、場合分けが整理されます。

数字のひっかけにも型があります。「子」の年齢では16歳(扶養控除の年齢)、遺族厚生年金の割合では3分の2(傷病手当金の割合)が混ぜられます。紛らわしい数字は必ず別制度からの借用なので、「これはどの制度の数字だったか」と出所を思い出す癖をつけると引っかかりにくくなります。

まとめ

遺族年金は、金額ではなく要件で得点する論点です。遺族基礎年金は「子のある配偶者」または「子」年金上の「子」は18歳到達年度の末日まで遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3で300月みなし中高齢寡婦加算は40歳以上65歳未満。この4点を押さえれば、この論点はほぼ取りこぼしません。あわせて子の加算の単価は一律ではないこと、子のない30歳未満の妻は5年の有期給付であること、遺族年金は非課税であることを確認しておきましょう。Fノピの無料演習には遺族給付を問う問題を複数収録しているので、実際に要件を当てはめる練習をしてみてください。

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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。遺族基礎年金の基本額や子の加算額、報酬比例部分の計算に用いる乗率などは年度ごとに改定されるため、本記事では実額を記載していません。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。