地震保険の要点|火災保険との違いと4区分の支払い
地震保険は、FP3級の「リスク管理」で毎回のように問われる頻出論点です。単独の商品ではなく火災保険とセットで契約するという性質から出発すると、保険金額の決め方も、支払いの仕組みも、控除の扱いも一本の線でつながります。この記事では、火災保険との関係を軸に、数字が問われるポイントを順に整理します。
1. 地震保険は単独では契約できない
まず押さえるべき大前提です。地震保険は火災保険に付帯する形でしか契約できません(火災保険の契約期間の途中から付帯することは可能です)。
なぜセットなのかというと、火災保険では地震・噴火・津波を原因とする損害が補償されないからです。ここには地震による火災も含まれます——地震で火事になっても火災保険では出ない、という点が繰り返し問われます。これらに備えるには地震保険を付帯するしかありません。
逆に、落雷による屋根の破損や台風の強風による窓ガラスの破損(風災)は、火災保険の補償対象です。「火災保険で出ないもの=地震・噴火・津波」とだけ覚えておけば、選択肢の切り分けができます。
2. 保険金額は火災保険の30%〜50%
地震保険の保険金額は自由に決められるわけではなく、主契約である火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲内で設定します。さらに建物5,000万円・家財1,000万円という上限があります。
選択肢には「50%から80%まで」「70%から100%まで」といった紛らわしい範囲が並びます。火災保険と同額(100%)にはできない点、上限は50%である点を押さえてください。
3. 保険金の支払いは損害の程度で4区分
地震保険は実際の損害額をそのまま払うのではなく、損害の程度を4つの区分に認定して、保険金額に対する一定割合を支払います。
| 損害区分 | 支払われる割合 |
|---|---|
| 全損 | 保険金額の100%(時価が限度) |
| 大半損 | 保険金額の60% |
| 小半損 | 保険金額の30% |
| 一部損 | 保険金額の5% |
この区分は2017年1月の改定で3区分から4区分に見直されたものです。「全損の場合は60%」「30%」といった選択肢が並びますが、60%は大半損、30%は小半損の割合です。全損は100%で、時価が限度という但し書きもセットで覚えておきましょう。
4. 保険料は「構造」と「所在地」で決まる
地震保険の保険料は全国一律ではありません。建物の構造(木造・非木造など)と所在地(都道府県)によって異なります。地震の発生リスクに地域差があるため、都道府県ごとに保険料率が設定されているからです。「構造や所在地にかかわらず全国一律」は誤りです。
なお地震保険の保険料は、ノーロス・ノープロフィット原則——保険会社に利益も損失も生じないように算定するという考え方——に基づいています。用語として問われることがあります。
4種類の割引制度
建物の耐震性能などに応じた割引があり、最大は50%です。
| 割引の種類 | 割引率 |
|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% |
| 耐震等級割引(耐震等級3) | 50% |
| 耐震等級割引(耐震等級2) | 30% |
| 建築年割引 | 10% |
| 耐震診断割引 | 10% |
これら4種類の割引は重複して適用できません。最大割引率を問う設問では、10%(建築年・耐震診断)や30%(耐震等級2)を選ばせようとしてくるので、免震建築物と耐震等級3の50%が最大だと覚えてください。
5. 保険期間は「常に1年」ではない
地震保険の保険期間は1年契約のほか、火災保険の保険期間に応じて最長5年までの長期契約も選べます。「主契約の保険期間にかかわらず常に1年である」は誤りです。長期契約では保険料をまとめて割安に設定できる場合があります。
6. 地震保険料控除
支払った地震保険料は所得控除の対象になります。控除額は所得税と住民税で違います。
| 税目 | 控除額 |
|---|---|
| 所得税 | 支払保険料の全額(最高5万円) |
| 住民税 | 支払保険料の2分の1(最高2万5,000円) |
注意点が3つあります。
- 火災保険部分の保険料は控除の対象外です。セットで払っていても、控除できるのは地震保険部分だけです
- 対象となるのは主として居住の用に供する家屋や生活用動産(家財)を保険の対象とする契約に限られます。事業専用の店舗のみや、生活の用に供しない別荘のみを対象とする契約は対象外です
- 年末調整で適用を受けられます。生命保険料控除と同じ扱いです。年末調整では適用できない代表例は医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つで、これらは確定申告が必要です
7. 保険会社が破綻したときの補償
損害保険契約者保護機構による補償割合も問われます。自賠責保険と地震保険は公共性が特に高いため、補償割合は100%です。任意の自動車保険や火災保険等は、原則として破綻後3か月間は100%、その後は80%が補償されます。
なお90%という数字は生命保険契約者保護機構のもの(責任準備金等の90%)で、損害保険側の数字ではありません。混同させる選択肢が出ます。
8. 解くときの手順
- ① 損害の原因は何か — 地震・噴火・津波(地震による火災を含む)なら火災保険では出ない
- ② 保険金額が問われたら → 火災保険の30%〜50%、建物5,000万円・家財1,000万円
- ③ 支払額が問われたら → 全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%
- ④ 保険料・割引が問われたら → 構造と所在地で決まる。最大割引は50%(免震・耐震等級3)
- ⑤ 控除が問われたら → 所得税は全額(最高5万円)、住民税は2分の1(最高2万5,000円)
理解度チェック(3問)
ここまでの内容が身についたか、その場で確認できます。選択肢を選ぶと正解と解説が出ます。
Q1. 地震保険は単独で契約することができず、火災保険に付帯して契約する必要がある。
答えと解説
正解:○
地震保険は火災保険とセットでのみ契約できます(火災保険の契約期間の中途からの付帯も可能)。地震・噴火・津波を原因とする損害は火災保険では補償されないため、これらに備えるには地震保険が必要です。
Q2. 地震保険の保険金額は、主契約である火災保険の保険金額の一定範囲内で設定するが、その範囲は次のうちどれか。
答えと解説
正解:1. 30%から50%まで
地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲内で設定します。さらに建物5,000万円、家財1,000万円という上限があります。
Q3. 地震保険料控除では、所得税において、その年に支払った地震保険料の全額(最高50,000円)を所得金額から控除することができる。
答えと解説
正解:○
地震保険料控除は、所得税では支払保険料の全額(最高5万円)、住民税では2分の1(最高2万5,000円)が控除されます。火災保険部分の保険料は控除の対象外である点に注意しましょう。
まとめ
地震保険は「火災保険では地震・噴火・津波が出ないから、付帯して備える」という一点から全体がつながります。そこに保険金額は30%〜50%、支払いは4区分(100/60/30/5)、最大割引は50%、控除は所得税で全額・最高5万円という数字を乗せれば、この論点はほぼ落としません。Fノピの無料演習には地震保険の問題を複数収録しているので、数字を思い出しながら解いてみてください。
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本記事は他の解説記事と同じく2026年4月1日法令基準日時点の情報に基づいて記述しています。記載した保険金額の上限・支払割合・割引率・控除額は本記事作成時点の制度によるものです。実際の保険料率や割引の適用条件は保険会社・契約内容により異なる場合があります。最新の法令・制度は公式情報をご確認ください。